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長久保赤水を知っていますか?

JR高萩駅前の長久保赤水の銅像(2026/02/23)



 作家阿刀田高さんの人気シリーズに「〜を知っていますか?」がありますが、それに倣って言うなら『長久保赤水を知っていますか?』となるでしょうか? 私の中でマイ・ブームになっている「日本の天文学史を訪ねて」長久保赤水編です。

 

 長久保赤水という人は1717年、常陸国多賀郡赤浜村出身で農民の子として生まれ、この地で地理学者、儒学者としての生涯を送りました。今の住所で言うなら茨城県高萩市赤浜が出身地ということになります。私は千葉の人なので、利根川を挟んだ北の国の人、ということになります。赤水は伊能忠敬の『大日本沿海輿地全図』に先駆けること42年前に、緯度経度を投影した『改正日本輿地路程全図』を完成させています。

 彼の出版した日本地図は、一般庶民の間で愛用され繰り返し増販するほどのベストセラーとなりました。一方、実測により日本の形を投影させ、より正確な姿を表したにも関わらず、伊能忠敬の『大日本沿海輿地全図』は、江戸時代にはほとんど表に出ませんでした(一部高官にのみ存在が知られていた程度)。
 それにしても天下泰平となった江戸時代に、庶民の間で流行った国内旅行の最良のお供となっているから、もっと知名度があって良さそうなもの。なのにほとんど知られていないのはどういうことなのでしょうか? しかも生誕300年に合わせて2016年、小惑星ナガクボ(15763 Nagakubo)まで誕生しているのに!

 顕彰会の資料には、こう記されていました。

 「庶民に愛用されたばかりか、あの幕末動乱期に無くてはならぬ指導者たちの必需品の一つだった」それなのに評価されなかったのはどうしてか?「明治新政府の御用学者たちが、すべて西洋の科学の眼で見、あれは地図ではないと判定したからであろう」

 そんなことから、地元以外では名前すら忘れ去られてしまいそうな存在になってしまったようです。そこで赤水の偉業を讃えるべく立ち上がったのが、1992年に発足した顕彰会です。

詳しくはこちら。
https://nagakubosekisui.org/accomplishments-and-personality

 

 なお、中山茂編の『天文学人名辞典』には以下のような説明で紹介されています(ちゃんと天文学史に掲載されているということです)。

【農家に生まれながら苦学して後に水戸藩に登用され、地理学者として当代の第一人者となった。赤水の「日本輿地路程全図」は安永8年(1779)に刊行されたが、これは従来の日本における幼稚な地図の水準を抜く立派なもので、伊能忠敬が幕府の事業として完成させた全国実測図以前のものとしては最高の地図であった。しかも伊能図は幕府が公開しなかったので明治以前には赤水の地図が市民にとって最良の地図と言えるものであった。赤水は安永3年(1774)に「天象」といういう初心者むけの天文書を著した他「天文星象図」を刊行し、「大日本史」の地理の部を担当した】

 

長久保赤水を訪ねる旅は次回に続く…

 

日本の天文学史

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