星語り(一番星のなる木)

星と天界の音楽

変身物語・1

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変身物語・1


  星座はギリシア神話が繰り広げられる舞台となっていますが、そのほとんどのネタ(エピソード)は、B.C.43生まれのローマの詩人オウィディウスの『変身物語』です。

 1966年に出版された人文書院版の田中秀央、前田敬作訳による『転身物語』と、20年後に新訳された岩波文庫版の中村善也訳『変身物語』、そして今年出版された京都大学学術出版会版の高橋 宏幸訳とでは、冒頭第一巻の「世界の始まり」の場面では以下のような言葉の使い方の違いが、無謀にも「う〜ん、言語で読んでみたいな」と思わせました。

 

田中秀央、前田敬作訳(1966)
「大地もまだ、それをつつむ大気の中に浮かびながら…」

中村善也訳(1986)
「大地が、みずからの重みで釣り合いをたもちつつ…」

高橋宏幸訳(2019)
「地球はまだ、まわりを包む大気の中には…」

 

 確かに現代人には「地球」は当然の事実として定着しているので、何ら違和感はありませんが、当時の人々にとって「地球」という言葉を使っていたのかと言う疑問がわき起こってしまいました。ちなみに日本にこの言葉が伝わって来たのは、年の宣教師マテオ・リッチが1602年に出版した世界地図『坤輿万国全図』中に見られる言葉です(日本には江戸時代初期に輸入されました)。当時の日本には、暦の正確さが求められた板ので、地球が丸かろうが、宇宙がどれぐらい広かろうが、天文方には関係のなかった時代だったようです。

 

 京都大学学術出版会版の2巻目は今年の出版予定に入っていないので来年まで持ち越されるようです。楽しみなのはパウサニアスの『ギリシア案内記』がスケジュールに告知されていることですね〜 なお、今回の第1巻には第一巻から第八巻までが収録されています。

 

☆おととい(6/20)、久しぶりに上野で観望会が行われました。とはいっても、条件はあまり良くなく、どの天体に望遠鏡を向けても流れ行く雲に阻まれて、しばし皆で上を見上げては待っている時間が長くなってしまいました。今振り返れば「あれで良く星が見れたなぁ」という状況下です。夏至も過ぎて、これからはだんだん夜が長くなり始める時期なのに、梅雨真っ盛り。今日もどんより。