昼前からチラチラ舞い出した雪が
だんだん数を増して夕方前には白銀の世界へと染まってしまいました。
「やったぁ!」
と、喜ぶのは我が家では私だけ。
家族はいろいろあった予定がすべて流れてしまったそうな。
陽が沈む前にすでにあたりは真っ暗となり、
ドビュッシーの「雪が踊っている」の世界が広がっています。
私が良く選ぶのはミケランジェリが1971年に初めてドビュッシーを取り上げたレコードです。最初に聞いたのはラジオから流れてきた「映像」の方でした。誰の演奏かわからず、ずっと「音」を探していたレコードだったのです。結局たどり着いたのは偶然でしたが、彼のタッチはほかのどんなピアニストよりも響きにこだわるアーティストだったようです。その美学が「冷たい音」と評されていますが、くっきりとした輪郭と、透明な音には聞きほれてしまいます。
指揮者でもありピアニスト、プロデューサーでもあるコード・ガーベンのがミケランジェリとのことを綴った「ミケランジェリ ある天才との綱渡り」にそのことが詳しく描かれています。ピアノの鍵盤に刺さったとげのような遺失物でさえもかぎ分けてしまうという聴覚の持ち主。クライバーとの関わりも興味深いものでした。
ミケランジェリの1993年の来日公演では、同じくドビュッシーの「前奏曲集第2巻」がメインになっていましたが、直前にキャンセルとなり、せっかく生で体験できると喜んで高額チケットを購入したのに払い戻されてきました。
陽が落ちてから雪がずいぶん数を減らしていきましたが、
その分、北からの風が強まった感じです。
明日の朝が楽しみ。