買い物から帰ってきて、

何気にパソコンをやっていたら、

さっきまでなかった窓にぽっかりと満月が昇っていました。


稲垣足穂の「月をあげる人」みたいに。



【月をあげる人】

ある夜おそく公園のベンチにもたれていると

後ろの木立に人声がした

「おくれたね」

「大いそぎでやろう」

カラカラと滑車の音がして

東から赤い月が昇りだした

「OK !」

そこで月は止まった

それから歯車のゆるゆるかみ合う音がして

月もゆっくり動きはじめた

自分は木立のほうへとんで出たが

白い砂利道の上には只の月の光が落ちて

きこえるものは樅の梢をそよがす夜風の音ばかりだった

一千一秒物語より)




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