昨日は即位礼正殿の儀でしたが、あいにくの天候だった(室内で仕事中だったから、あとでTVニュースで知った)ようですが、その後はどうやら晴れ上がったようです(虹も出ていたとか)。というのも、布団に入る前にちらとカーテンを開けると、目の前の東天の空に明るい半月が掛かっていたから。少々情景は違うけれど、稲垣足穂の小品を思い出しました。だから、今朝は雨上がりの日の出になりそうだと予想して目覚ましをセットすると、目論見は当たりました。前日の雨の影響か、一晩の夜露なのか、あたりはびっしょりと濡れていましたが、目の覚める夜明けを迎えました。次回の講座ネタに撮りためている日の出の写真を撮りに。だんだん時間が遅くなってくるのが、出勤時間に影響を及ぼします。ヒヤヒヤ、ハラハラしながら時計と相談。
写真集太陽 -身近な恒星の最新像- /柴田一成・大山真満
第 I 章: 白色光で見た太陽
第 II 章: Ha線で見た太陽
第 III 章: その他の可視光と赤外線で見た太陽
第 IV 章: X線で見た太陽 -「ようこう」衛星による観測-
第 V 章: 電波で見た太陽
第 VI 章: SOHO衛星とTRACE衛星が見た太陽
第 VII 章: 我が国の太陽観測衛星と地上太陽観測所
まえがきにこう書いてありました。
「世の中に天体写真集というのは数多いが、太陽写真集と言うのは数少ない。太陽はあまりにも身近でロマンの対象になりにくいからだろうか?しかし、こんな変化にとんだ激しい姿を見せてくれる“天体”はほかにないのだ。太陽は星である。しかも、まったくありきたりの普通の星である。太陽がこんなに激しく活動しているのだから、はるか遠方にはもっと激しく活動している星がいっぱいあるのではないか?そうなのだ。太陽を詳しく見ると、いまだ見ることができない星々の激しい姿が見えてくる。それがおそらく太陽のロマンであろう。」
確かに、「ロマン」という感じ方でなくても、太陽は昼間、気にせずとも毎日見ているし、夜空に輝く星々と同じ恒星にも関わらず、気にかけていませんでした。次の講座のお題目が「太陽」なので、「日本の天文学」同様、今更ながらに「太陽って面白い!」と思うようになりました。とはいえ、最近の太陽はノッペラボーで… ネットには毎日の太陽の表情を見せてくれるサイトがあるので、毎日見るようになりました。
この写真集は、用語はもちろんのこと、太陽表面のクローズアップなど、今までに見たことのない太陽の表情を垣間みることができます。ただ、ずっと、赤く燃えたぎるような溶鉱炉を見るようで、思わず「ふ〜」などと、額を拭ってしまいそうです。
間宮林蔵(吉村昭)
今まであまり意識することなく通り過ぎてきた日本史。通り過ぎたといっても、せいぜい学校の授業の中ぐらい… この本の主人公、間宮林蔵も、名前は聞いたことがあっても、何をした人なのかは考えたこともありませんでした。それが伊能忠敬つながりで、天文史にも名前を残していることを知り、しかも関東圏の人物ではありませんか!(笑)
というわけで、今年初めには足跡を訪ねる旅(というほど大げさなものではなく)をはじめ、彼の生家や記念館に足を運びました。それでもまだ物足りない(?)ので、手を出したのが本書。購入してから半年以上たって、ようやく読み始め、あっという間に読み終わってしまいました。
学術書ではなく小説。とはいえ、様々な文献や資料を参考に、作者である吉村昭氏が創作した話であるとはいえ、歴史に忠実に描いてくれているので、日本史(歴史?)が苦手だった私のような人間にとって、とてもとっつきやすく触れることができ、「へぇぇ、そうだったんか!」なんてことがいくつも出てきました(そのたびに付箋貼りまくり)。
前半は蝦夷地測量、後半は隠密…。 あちこちのレビューにはそんな風に書いてありました。確かにそんな。ただ、井上ひさしの『四千万歩の男』の後だったこともあり、なかなか主人公に感情移入ができず、歴史上の人物のイメージを壊さずに書く場合は、小説家の気持ちがあまり入ることはないのかもしれません。どちらかといえば、映像で言うところのナレーションのような進行です。
とはいえ、ドラマチックな彼の生涯は、一冊の小説では展開が早く、多くのレビューにあるように一気に読めたという感じでした。
間宮林蔵は、世界地図の中で唯一名前を残した日本人、ということらしいのですが、考えてみれば、西洋世界では大航海時代に初めて訪れた時に、先住民のことなど考えもせず、上陸した人の名前などをポンポン付けていたから、シーボルトが行った命名も、それに倣ったものだったんですね。1年前の天文講座で、南半球編でコロンブスとかマゼラン、宣教師たちの様々な航海に関して本を読みましたが、その時は「マミヤ」に届かず…
四千万歩の男(井上ひさし)
単行本でも5冊に及ぶ大作
講座に併せて昨年11月に読み始じめたものの、
ようやく終了…
フィクションとはいえ
そのほとんどは伊能忠敬の日誌や研究書をベースに
時系列を繋ぎ合わせ、日記や研究書にない部分を創作したとか。
そのへんは『四千万歩の男の生き方』という別冊で明らかにしていました。
実在の人物も数多く登場し
読んでいてネタとして使えそうな部分も数多くありました。
作者的には続編を考えていたらしいのですが、
今となってはそれも叶わず…
伊能忠敬は地元の人物ではありましたが
大して関心も寄せていませんでした。
しかし星学(天文学)を知れば知るほど
重要人物の一人だったということに驚いています。
今度は伊能忠敬の跡を継ぐことになる
間宮林蔵(吉村昭)の本を読んでみようと思っています。
ちなみに井上ひさしと言えば
私にとって一番好きな小説が『新釈遠野物語』です。