今年2度目の日食が12月26日に起こりました。結果、見ることはかないませんでしたが夢が一つ叶いました。それは日本の天文学を築いた巨人を訪ねることです。
麻田剛立(1734-1799)。
1763(宝暦13)年の日食予報を1年前に予報したことで、世間に名前が知られるようになった天文学者。日本の天文学の縁の地を訪ねる旅シリーズ(勝手に命名しているマイ・ブーム企画)で、急遽決まった前倒しの休暇を利用して、今回の日食が千載一遇のチャンスとばかり、まだ訪ねていない麻田剛立に会いに行くなら、この日以外に考えられないと思い、計画もそこそこに新幹線へ乗り込みました。
当然と言えば当然ですが、お墓参りに来る人は誰もおらず、暮れの慌ただしさとは無縁の時間と空間がここにはありました。どんよりとした空で、いつまで待っても欠けた太陽は顔を出すことがありません。腕を組んだまま空を見上げる剛立に「晴れませんねぇ」と声を掛けたものの、彼は身じろぎ一つせず、ただ雲の隙間から一筋の日彼が漏れることだけを期待しているようでした。
そんな情景を想像しながら、自分自身も時々顔にパラパラと冷雨を受けながらじっと空を見つめていましたが、このまま待っていても日食は無理かなぁ、と思った瞬間、隣にいたはずの剛立の気配もなくなっていました。
日本の天文学に興味を持ってここまでやってきました。まだまだ訪ねたい場所はたくさんありますが、わずか1年の間(去年の12月28日から始まった)に渋川春海、高橋至時、伊能忠敬、間宮林蔵らの史跡を訪ね、とうとう麻田剛立にも会うことができました。しかも日食の日に。
その他、地下鉄を駆使して(一日乗車券が便利)間重富、天文観測の地、山片蟠桃、岩橋善兵衛らのお墓参りをしてきました。特に翌日の岩橋善兵衛は、善兵衛ランドという立派な天文台を備えた施設で、2時間近く職員の方をお話をすることができて充実したなにわめぐりの締めくくりとなりました(実際の締めくくりは善兵衛のお墓参り)。