
”ラティウムの一年を通じて定め置かれた暦と、その縁起、そして、星座の大地への沈み、また、その昇りを私は歌います”
という一声によって歌い始められる、『メタモルフォーゼス(変身物語)』で星好きにはお馴染みのギリシア神話集を残してくれたオウィディウスの未完の作品。随所に星座の出没が謳われ、当時の人々の生活の中に星空が一緒にあったことを教えてくれる抒情詩。この度、30年ぶりに文庫版として再版されました(予算を超え、想定外の本でしたが、躊躇することなく買っちゃう私がいる…)。
ギリシア神話の中では、あまり星空に触れるシーンはありませんが(オリュンポスの神々が主役の物語なので、まぁ、仕方ない…)、ここでは人々の生活にかかせることのできない「暦」を通して、四季折々の星座の昇りと沈みの情景が表情豊かに語られています。ただ、残念なことに、一年12ヶ月ではなく、半年分のみ。他の叙事詩(巻物、パピルス)同様、散逸してしまったのかと思われがちですが、実際は作者であるオウィディウスが逮捕されてしまったことで、この後の暦を書くことができなかったというのが実情のようです。
今日は、久しぶりにオケのコンサート、すみだトリフォニーホール。
