ミラ

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 実家の車の名前にもなっているくじら座のミラ(ο Cet)は、周期332日で2-10等という光度変化の著しい変光星として有名な星です。その光度周期や発見時のエピソードなど、まさに変光星が持ちうる最大級のネタを持ち合わせる天体として知られています。

 そんな星が極大を控えている今秋。サザンクロスでもサークル終了時に探してみました。最初は「おっ!明るい」と思わせたその星は、残念ながらお目当ての天体ではなく、ミラ と同じようにオレンジ色に輝く3等級のα星でした。

 「これがミラだったら、ここ最近、最も明るくなっているかもしれない!」と、招待が判明するまでの間、エキサイトさせてもらったのですが、双眼鏡を向けるとすぐに、くじら座の頭に位置するα星メンカルだとバレてしまいました。


 サザンクロスを解散して、大樹が寝ついた頃、家を出て印旛沼へと向かいました。ここは最近になって「天の川が見えるじゃん!」と、ロケーションの良さを見直した場所で車のエンジンを止めるとまず最初に秋の虫の声がわっと飛び込んで来ました。


 東南の空には早くもシリウスがオリオンを追いかけるように鋭い瞬きを見せていました。今日のお目当ては、その賑やかな領域ではなく、まさに目の前、真南に架かるくじら座です。公民館の駐車場ではかろうじて見えたミラも、ここではα星よりも暗いという子がはっきりと見て取れました。それというのも周囲の暗い星たちが、がんばって輝いているからに他なりません。

 夏の大三角と、冬の賑やかな星座たちに挟まれて、今、目の前に広がる大きな星座を前にしています。静かな夜の静寂(しじま)を渡る夜風の中に、彼らの物語が聞こえて来ました。